前回、油分除去剤について色々と私見を述べさせていただきました。
その中で、油分除去剤にはそれぞの目的と個性があると言いました。
その目的と個性を感じるためには、洗車の工程を再度思い返す必要があると思っています。

今回も、自分の考え方を再整理と再検討するためであり、あくまでも私見となります。
洗車については、このひとつが正解であるということはない世界だと考えています。
また、今回下記の情報を参考にさせていただきました。

【参考】
 ・Guide_LSP – Autobritedirect JAPAN
 ・What is Car Glaze? Glaze vs. Wax, Explained
 ・ワックス・シーラント・グレーズ・ディテーラーの使い方と違い。 | chemicalGUYS(ケミカルガイズ) smartwax(スマートワックス)
 ・Step-by-Step Flow Chart for Detailing Your Car | Chemical Guys
 ・Top 4 Distinctions Between Paint Sealant and Ceramic Coating

今回、この記事を執筆するにあたり、かなり悩んでしまうことが多かったです。
自分の知識とバックボーン(経験)の薄さ、トレンドへの憧れ、一般論か当店(自分)の流儀か?、などにより、笑ってしまうほどの迷走を繰り返していました。
執筆にかなりの時間が掛かり、合計3回から〜4回ほど記事を大幅に書き直しました。
その原因は、「研磨」と「セラミックコーティング」です。

まず、「研磨」についてです。
悪化している塗装面を修復する「研磨」は、屋内作業環境で知識と技術を持って施工することが一番最良な方法だと認識しているのです。
それに対して当店は、屋外作業環境であり、十分な知識と技術も持ち合わせていないのです。
ポリッシャーすらまともに扱ったことはありません。
結果として、当店(自分)ではハンドポリッシュ(手磨き)を選択しているのです。
ここが、ちょっとした負い目だと感じています。

次に、「セラミックコーティング」です。
コーティングにおいて、カルナバ蝋ワックスに対する信頼と自信は変わっていません。
しかしながら、レイアリングを考えると、トップはカルナバ蝋ワックス一択なのですが、ベースとしては硬化系である「セラミックコーティング」が良いはずだとの結論になってしまったのです!?
硬化皮膜であり、耐久性も長いので、ベースコートとしては最適なもののひとつだと思います。
また、以前とは異なり、硬化時間も短く、硬化時間内での降雨を考慮した対策、カルナバ蝋ワックスとの親和性を持った製品が今は販売されているのです。
それを知った途端、ベースコートがセラミックコーティングで、トップコートがカルナバ蝋ワックスコーティングだ!と自己内暴走が始まりました。
実際に検証しようと思い、お目当てのセラミックコーティング剤を注文して、既に手元に届いてもいます。

そして、作業フローを作成し始めて、点(作業項目)は散在しているのですが何故か線で上手く繋げられない部分ができてしまったのです。。。

無理やり繋げてみても、イメージが湧かないというか、腹落ちせずに納得がいかなかったのです。
そして、試しににおいて、「セラミックコーティング」を外してみると、スムーズに繋がり納得もできるフローになったのです。

なるほど。。。

当店(自分)が考える洗車作業フローには、組み入れてはいけなかったようです。
実質的に、当店は古い伝統的な手法を踏襲しているスタイルだと自覚しています。
レイヤリングもあまり意識はしておらず、実質カルナバ蝋ワックスのシングルレイヤーです。
つまり、最終到達地点がカルナバ蝋ワックスでのコーティングになる訳です。
それが、シンプルで分かりやすかったのです。
着やすく脱ぎやすいスタイルです。

収まりが良い作業フローへ新たに作業項目を盛り込もうとし、複雑化してしまい破綻したと思っています。
因みに、新たな独立したフローとして「セラミックコーティング」だけを考えると、すーっと点と線が繋がりました。
そんなもんなんだと呆気に取られました。
そもそも、ベースコートにセラミックコーティング、トップコートがカルナバ蝋ワックスコーティングと言っても、作業手番的には二日間に渡って対応するしかないのです。
セラミックコーティングの硬化時間があるからです。
結局、同時(日)施工はできないのです。

ただ、「セラミックコーティング」の有効性と実現手段の机上シミュレーションは出来ているので、ちょっと検証してみようと思っています。
適用可能と判断できたら、裏メニューとしてサービス提供を考えています。

「セラミックコーティングはやっていないのですか?」と直接お尋ねいただければ。。。

洗車の作業工程項目を考えると、「7+3」になると当店では考えています。

  1. Wash「洗車」
  2. Clay「鉄粉除去」
  3. Polish「研磨」
  4. Glaze「傷埋め」
  5. Sealant「保護(定着)」
  6. Wax「保護艶出し」
  7. QuickDeatiler「メンテナンス」

a. Melt「スケール除去」
b. Remove「クリーナー」
c. Polish&Remove「研磨クリーナー」

今の時代にマッチしているかと言われれば、マッチしているか否かは分かりませんがカーケミカル剤はこの分類に当てはめて考えると理解/整理しやすいかと感じています。
例えば、この「油分除去剤」は、3&4&5 の機能を網羅させている製品なんだな?とか、このふたつのケミカル剤は、結局同じ機能目的だったな?などと自分自身も整理しています。

【目的】
これ以降の作業工程で、引き摺り傷(洗車傷)を極力発生させないようにボディ表層面の「粒子汚れ」を除去する準備作業工程。


ボディ表層面の「粒子汚れ」を除去することが目的であり、汚れ除去の深追いはしてはならないものだと認識しています。
何故なら、「粒子汚れ」以外の汚れは後工程で対処するからです。
ただ、この工程においても、ボディに接触してしまうので傷が全く入らないことは考え辛いです。

昔のカーシャンプーは、汚れ除去能力をアピールしていたかと記憶しています。
今現在でも、脱脂機能や酸性/アルカリ性などの液性属性特化などの、「機能性シャンプー」もあります。
また、「 3pH 洗車」と呼ばれる、3 種類(酸性/アルカリ性/中性)の「機能性シャンプー」で洗車する手法もあります。

「 3pH 洗車」は、有機汚れと無機汚れが除去されるのであれば、「油分除去剤」や「スケール除去剤」を使用してボディに触ることがなくなるので洗車傷も少なく、ガラスコーティングなどの皮膜に優しいと感じています。
「天然ワックス」の皮膜は落ちてしまうと思われます。
ただ、自分は施工したことがないのでよく分かってはいません。
また、出張洗車というスタイルには合わないと思っています。

当店が採用している「リンスレス洗車」ですが、「粒子汚れ」をポリマー成分でカプセル化して除去する洗車方法です。
しかしながら、水道環境があるのであれば、普通にシャンプー洗車をした方が良いと考えています。
その際に、自分が使用するシャンプーは、潤滑性と泡立ちが良い「中性シャンプー」を選ぶと思います。

最後に、「界面活性剤」の残留リスクについて声高に主張されることがありますが、ちゃんと洗い流して拭き上げれば問題はないはずだと個人的には思っています。
実際に、「界面活性剤」によるダメージを見たことがありませんし、食器用洗剤にも含まれていますので。。。

【目的】
塗装面に付着(刺さった)鉄粉を除去する作業工程。
 ・鉄粉除去剤を使用したケミカル除去
 ・粘土やパッドを使用した物理除去


塗装面やホイールに付着する鉄粉ですが、あまり気になさらなくても良いのではと思っています。
よく言われる、「鉄粉が刺さって放置すると、塗装内部から錆びてしまう。」という話も、かなり大きな鉄粉でないとそうならないと思います。
そのような大きな鉄粉であれば気付くはずですし、気付いたら対処すれば良いと思います。
何故なのか分かりませんが、海外ではポピュラーな作業工程(項目)となっています。
自身のクルマに対して鉄粉除去を行ったことはありません。
ですが、不具合は発生していないのです。

多分、他の作業工程で、鉄粉は落ちてしまっている可能性があると思っています。
よって、塗装面のザラつきが気になるのであれば鉄粉除去をすれば良く、気にならないのであればそのままで大丈夫だと考えています。

また、粘土などの物理除去は傷が入りやすいので、ケミカル処理が良いと思っています。

【目的】
劣化した塗装面の修復を行う作業工程。
 ・劣化(酸化や色褪せなど)した塗装面のピーリング
 ・凸凹になった塗装面の平滑化(傷などのダメージ改善)
 ・有機汚れと無機汚れの物理的除去


研磨には色々な研磨があると思っています。
塗装面の状態により、適用する方法が
 ・ケミカル剤(油分除去剤、下地処理剤、クリーナー、ワックスなど)に配合された研磨剤による「軽研磨」
 ・コンパウンドやポリッシュ剤での「軽研磨」
 ・コンパウンドで段階的な番手適用をしながら行う「切削研磨」
などと別れると思います。

「軽研磨」は、塗装面を削り取る意志を持って傷を消すことや陥没痕を修復することを目標とした「切削研磨」とは異なり、塗装面を軽く研磨(磨くと言う表現の方が適切かも知れません)して、表面を整えることを目標としたものです。

洗車と同じように、傷の深追いはしません。
傷付きエッジが立った表面のエッジ部分を滑らかにするレベルです。
だから、深い傷は消えないのです。

では、どうするか?

傷は埋めます。。。
埋めて誤魔化せるなら、埋めて誤魔化した方が良いと自分は考えています。(後述する「 4. Glaze「傷埋め」」がその工程となります。)

「切削研磨」は、傷や陥没痕を消す研磨です。
その知識と技術を持った職人さんにお願いするべきだと思っています。

【目的】
傷を埋めて平滑状態に近づけることにより、光の乱反射を抑え傷を見え辛くする作業工程。
結果として、より深い艶を得ようとする行為となります。


凹んでいる傷部分を、フィラー(充填成分)で埋めて極力平滑にします。
傷を埋めて平滑状態に近づけることにより、光の乱反射を抑え傷を見え辛くするのです。

ただ、「誤魔化す」と言う表現をされることもあります。
確かに「誤魔化す」のです。
しかし、「誤魔化す」ことを嫌うのであれば、削るしかないのです。
厳密には、再塗装する方法もありますが。

クルマは使えば傷つくものだと認識しています。
当然、傷に対してセンシティブな意識や対応、つまり傷を消す研磨を繰り返せば、当然塗装(クリア層)は痩せ細っていきます。
だからこそ、平時は傷を隠すこと、「誤魔化す」ことを自分は選択しています。
そして、どうしても隠し切れなくなった時に、傷を消す研磨を行えば良いのではないかと考えます。

それ故に、「油分除去剤」にはこの傷隠し効果を保持したものがあります。
また、ワックスなどにも傷隠し効果があります。

【目的】
前述の作業工程を経て浄化ならびに修復された塗装面に対して、保護膜のコーティングを行う作業工程。


「シーラント」あるいは「ペイントシーラント」ってご存知ですか?
自分は、その言葉自体は知っていましたが、何なのかはよく知りませんでした。
今回色々と調べていると、海外では結構見かけるキーワードでした。

少し調べてみると、、、
 ・シーラントは石油から抽出された材料で作られた合成化合物
 ・シーラントは ポリマーとオイルでできており、塗装面と結合すると保護層を形成
 ・ワックスと対で出てくるケミカル剤
 ・「架橋」(橋渡し?)と言う言葉が出てきて、塗装面へ密着する?

国内で言えば、「ポリマーシーラント」や「CPC シーラント」というものが現存しています。

個人的には、以下のように認識しています。
 ・「シーラント」とは、石油から抽出された材料(ポリマーとオイル)で作られた合成化合物
 ・塗装面と高密着するもの
 ・その目的は、ワックス塗布前のベースコートとして

ワックスが全盛の頃のポリマーのベースコート剤「シーラント = ベースコート剤」だと思っています。

しかし、現在でもシーラントは評価されており、ケミカル剤も販売されています。
国内ではなく海外、それもアメリカでは任意がありそうなケミカル剤です。

調査をしてみて、有用であれば当店でも取り入れようと考えています。

【目的】
前述の作業工程を経て浄化ならびに修復された塗装面に対して、光沢化と保護膜のコーティングを行う作業工程。


天然ワックス、セラミック、グラフェン、ポリマー、フッ素などなど、コート剤の種類は多岐に渡っています。
それぞれ一長一短があるものなので、ここはもう自分の好みのものを選べばで良いと思っています。

Layering(重ね塗り)

「レイヤリング」は、コート層を積層させること。

昔は、ワックスの二度塗り、三度塗りというのもがありました。
自分も二度塗りをしていました。
しかしながら、その時に使用していたワックスでは、二度塗りは意味がないものと知ったのは洗車に興味を持ち始めた頃でした、、、

積層化自体、役割分担をさせるという点で有用だと思っています。
ただ、過度な積層化は、洗車を複雑化させてしまうと思います。

当店の洗車サービスを立ち上げた時、「レイヤリング」をオプション設定していました。
同一「天然ワックス」の積層です。
ただ、正直あまりニーズはないだろうと思っていたのですが、案の定そのオプションを選ばれるお客さまは皆無だったので、オプションメニューからそっと外しました。。。

今現在、当店では「天然ワックス」の単一層と思われるかも知れません。
ただ、厳密に言えば「下地処理剤」、つまり「クリーナーワックス」で下地を作っているので、そのワックス成分がベースコートになっています。
その上に、トップコートとなる「天然ワックス」層が載っているのです。
しかしながら、これは言葉遊びなのかも知れません。
明示的に、ベースコート剤を施行していないので。
ただ、メーカーや販売店が、ワックス施工前の下地処理としてこれを使ってくださいと指定していることは、その辺りの理由があるからだと考えています。

「クリーナーワックス洗車」は、完全なシングルレイヤーです。

このベースコートの件。
本音で言えば、硬化系コートが良いと思っています。
実は、自分の働くクルマには、購入当初にベースコートとして硬化系コートを施工してあるのです。
当然屋外で施工したのですが、GANBASS さんの AVELL Version2.1 です。

やはり、柔らかい塗装を直接護る(ベースコート)のであれば、塗装よりも硬い層が良いと考えているからです。
それに、硬化系コートを施工してあることが、安心感にも繋がっており精神衛生上でも良い傾向にあると思います。

しかしながら、当店では硬化系コーティングを承っておりません。
出張洗車というスタイルで基本的に屋外での施工環境となるので、硬化時間が必要なことはリスキーだと判断しているからです。
ただ昨今、自分の琴線に触れる硬化系コーティング剤がポツポツと現れ始めてしまいました!?
「天然ワックス」の上位施工も考慮されています。
初期硬化時間内の降雨に対しても考慮されています。

少し考えなければならない時期かと感じています。
詳しくは、また別の機会にでも。。。

【目的】
ワックス施工がされた塗装面のメンテナンスを行う作業工程。


クイックディテイラー(QD)やスプレーワックスなど使用して、軽微な汚れの除去を行うとともにワックス機能の維持強化を行います。

前述の洗車作業工程は、全てをやらなくてはイケナイものではないです。
塗装の状態により、臨機応変に変えて良いものだと思っています。
そして、作業を代替してくれたり、複数の作業を包含してくれるケミカル剤が存在してくれていることが、作業性を大きく向上させ、洗車作業工程をシンプルにしてくれていると感謝しています。

a. Melt「スケール除去」
スケールを除去してくれる酸性ケミカル剤は、 3. Polish「研磨」作業の一部を代替してくれるケミカル剤です。
「磨いて落とす」のではなく、「拭いて落とす」ことが可能なので、優しく簡単な施工となります。
ただし、硬化系コートには注意が必要です。
スケールと硬化系コートの区別がつかず、硬化系コートも除去対象としてしまいます。
しかしながら、酸性ケミカル剤にもある程度の耐性を保持した硬化系コートも存在しています。
本当にスゴいもんだ!と驚いています。

b. Remove「クリーナー」
研磨剤が未配合の油分除去剤でのを「クリーナー」と位置付けています。
研磨剤が未配合ですが、それほど汚れが蓄積されていないボディ(新車や良い塗装状態など)、或いは硬化系コートが施工されているボディに使えます。
例えば、ベースに硬化系、トップに油脂系のレイヤリングをしてある場合、トップの油脂系だけ落とすことが可能です。
つまり、硬化系コートには影響がないケミカル剤と認識しています。
個人的に「クリーナー」とカテゴライズしています。


c. Polish&Remove「研磨クリーナー」
研磨剤が配合されている油分除去剤を「研磨クリーナー」とカテゴライズしています。
大きくふたつになると考えています。
保護艶出し成分が含まれているか否かです。

艶出し保護成分が含まれていない油分除去剤は、「 3. Polish(研磨)」作業を代替してくれるケミカル剤です。
a. Melt「スケール除去」のスケール除去剤と併用すれば、「 3. Polish(研磨)」工程での目的である「劣化した塗装面の修復を行う作業」とほぼ同等の施工内容となると考えています。
つまり、コーティングを行う上での「下地処理」が完了したことと同等と考えています。

艶出し保護成分が含まれている油分除去剤は、は、3. Polish(研磨)」+ 4. Glaze「傷埋め」+ 5. Sealant「保護」の一部の 3 工程作業を代替してくれるケミカル剤です。
ワックスメーカーが推奨する「下地処理剤」やクリーナーワックス( All in One )などは、この艶出し保護成分が含まれている油分除去剤になります。
艶出し保護成分は、カルナバ蝋、モンタン蝋、ポリマー、フッ素、グラフェンなどが配合されているようです。

しかしながら、自分自身はポリマーについて無知なのです。
フッ素がポリマーなのかも分かっていません。
ポリマーは、シーラントでも出てきます。
今時点での、自分自身の宿題だと思っています。。。

最後に、Chemical Guys さんの “DETAILING FLOWCHART” と当店の “VALATING FLOWCHART” をご紹介しておきます。

今回の記事を執筆するにあたって、海外のディテイラーさん、ケミカルメーカーさんのウェブサイト記事がとても参考になり、勉強にもなりました。
そして、意外だったことが、セラミックコーティングなど無機質コーティングが人気だと思っていましたが、無機質コーティンがベースコートとして塗装を強固に護る役割で、トップには有機質コーティング、つまりワックスを載せる内容が多かったです。
深く温かみがある艶が好きだからという理由が多かったです。

正直、嬉しかったです!

あとは、その際にブラウザの翻訳機能を使い倒していました。
この翻訳機能がなければ、何ひとつ理解できなかったです。。。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!

Views: 77