先日の BMW325i の洗車。
BMW325i はオーナー様お父上の形見だったのです。
本当は整備をして乗り出したいのですが、訳あって今はできない状況。
であれば、これ以上の劣化を少しでも防ごうとボディカバーを掛けて保管したいとのこと。
ボディカバーを掛ける前に、綺麗にしておきたいとのご要望だったのです。
正直、8年間放置されたクルマの洗車は初めての経験でした。
8年間の蓄積した汚れに対して、当店(自分)の洗車が通用するのかがとても不安でした。
結果として、残念ながら満足できるレベルのものではなかったと思っています。
ですが、「うん、綺麗になったじゃないですか!」とお声がけをいただき、無事にボディカバーを掛けることができました。

今回は特別な洗車でしたが、その中で色々なことを感じながら施工をしていました。
つまり、ケーススタディです。
その観点は、出張洗車での主観となります。

リンスレス洗車後の状態を確認した時、ふとビューティフルカーズさんのようなナノ系のアプローチであればどうするのだろう?と思ったのです。
ナノ系には油分除去剤のようなケミカル剤のラインナップがないのです。
多分、油脂系のケミカル剤になるので酸化への懸念と塗って拭くことによる洗車傷の発生を嫌ってのことかと思っています。
ナノ系はスプレー式の施工性の良さが魅力なのですが、その前に機械式研磨での下処理が多分必要となるはずだと考えました。
ただ、機械式研磨に耐えられる塗装状態なのか?という問題もあります。
あるいは、酸性、アルカリ性、溶剤系などのディープクレンジング用のケミカル剤があるので、アルカリ性ケミカル剤(インセクトリムーバー)で対応するのかもしれません。
この表層面の白ぼけ汚れは、有機質の汚れです。
何故なら、初めにスケール除去剤の適用を試したのですが弾かれるのです。
つまり、有機質の汚れでコーティングされている状態です。
となると、アルカリ性のケミカル剤か油分除去剤の適用となるはずです。
ただですね、先日の NISSAN MOCO の洗車でアルカリ性のケミカル剤を適用して、危うくシミになるところだったのです。
その原因は、明らかに自分の施工ミスだったのですが、それ以来アルカリ性ケミカル剤については極力使用を控える方針にしたのです。
一番の問題点は、出張洗車では水で洗い流すことが難儀なのです。
出張洗車サービスを提供されている方の中には、高圧洗浄機や発電機/ポターブル電源などを利用して洗車を行われるご同業の方々も居られることは知っています。
ただ、当店(自分)が目指したのはショールームなどの屋内でも床を濡らさないでできる洗車でした。
しかしながら、ここ最近は屋外で地面を濡らしても問題がない場合には、このようなポータブル洗車機?を使っています。

タイヤとホイール洗浄作業の生産性が大幅に向上します。
ですが、ボディ周りの洗車に使うことは厳しい状況と個人的には感じています。
あと、作動音が大き過ぎるのです。
でも、10 L もの水を持っている安心感はかなり大きいです。
よって、当店(自分)の観点は、如何に水を使わない(濯がない=リンスレス)で施工できるかを最優先事項で考えているのです。
GANBASS さんやビューティフルカーズさんのケミカル剤や洗車方法は素晴らしいと思うと同時にとても共感できるものです。
GANBASS さんの「洗車マニュアル」も拝読させてもらっています。
ですが、いつもはじめの一歩で足踏み状態になるのです。
洗車環境条件が異なるのです。。。
洗車環境条件差異によって、推奨される洗車方法を実現できないのです。
また、YouTube などの動画でも、水をかけながら「コーティングは除去されました」とか「バチバチの撥水性です」などといったことも、水を潤沢に使用できないので疎遠なのです。
では、どうするのか?
結局は良いとこ取りで独自に組み立てるのです。
また、その製品の使用説明は重要ですが、何故そのような使用方法が推奨されるのかを少し深く考えてみることも大切なことだと思っています。
使用説明に書かれている使用方法は、一番無難な方法です。
つまり、失敗しないやり方なのです。
例えば、「濡らして絞ったマイクロファイバータオル」を推奨されている場合、「乾いたマイクロファイバータオル」や「アプリケーター、パッドなどのスポンジ」では使えないのだろうか?です。
その逆も然りです。
ひとつ、個人的に一番秀逸だと感じている使用説明方法をご紹介しておきます。
●適量を濡らして固く絞ったクリーニングタオルやワックスアプリケーターに取り、ボディに塗り込んでください(可能であれば乾いたタオルやアプリケーターに取って使用することをおすすめします)
あと、ポリシー的なネガティブ指針の類です。
例えば、「シャンプーはダメ」、「水道水はダメ」、「油脂はダメ」、「石油系用剤、界面活性剤、研磨成分はダメ」、「アプリケーター、パッドなどのスポンジはダメ」、「ブラシはダメ」などです。
これら2点については、そのプラスとなる効果とマイナスとなる部分を自身でトレードオフの勘案をして採用すれば良いと考えています。
より良くするために、つまり施工パフォーマンスを向上させるための独自性の追求は、自己責任のリスクを負う覚悟で色々と試してみる価値はあるものだと思います。
当然失敗も多々あります(ありました)。
ですが、使用説明通りであれば「使っている」に過ぎませんが、独自性を持った使い方は「使い倒す」ことになると感じています。
「使い倒す」ことが実現すれば、それは唯一無二のガラパゴス的な洗車方法になると考えています。
かく言う当店(自分)の洗車方法ですが、根っこは AKI Car Wash さんです。
その根っこに、自分なりの枝葉をつけているスタイルです。

そして話は戻りますが、この表層面の有機質白ぼけ汚れですが、アルカリ性ケミカル剤の適用を除外すると、油分除去剤での対応となります。
で、ここ最近での悩み事なのですが、洗車にお伺いする際に持参する資材物量が多過ぎることでした。
情けないのですがあれもこれもと、紛れもなく自信のなさの現れです。。。
油分除去剤も常に数種類か持ち込んでいたのですが、今回基本的にもうひとつふたつで大丈夫だろうと自信が持てました。
当店(自分)の場合はクリーナーワックスになりますが、やはり齊藤◯美装さんの Mighty3 が一番性に合っています。
シリコーン、石油系用剤、界面活性剤、研磨成分と、人によっては毛嫌いされる成分のケミカル剤だと思います。
しかしながら今回、Mighty3 の適用によって、8年間の歳月を経て蓄積された白ぼけた汚れを上記のように除去できたのです。
意味があるフォーミュラなんだと理解しています。
無論、持ち込んだ油分除去剤を各々試してはみました。
その中で、Mighty3 と Griot’s Garage のオレンジコレクティングパッドの組み合わせが自分には最適でした。
多分、他の油分除去剤とオレンジコレクティングパッドの組み合わせでも落ちていたと思います。
つまり、研磨の領域に少し踏み込んでしまっていたと認識しています。

では、何故 Mighty3 だったかと言えば、使い慣れていたからです。
AKI Car Wash さんのピッチレスクリーナーから始まり、齊藤◯美装さんの Mighty3 に落ち着いた経緯があります。
合わせて、もう20年以上使ってきた信頼感があるのです。
ただですね、荷物が多いもので、ABSOLUTE WAX さんの IMMENSE を持ってくるのを忘れていたのです!?
IMMENSE には、何とかしてくれる救世主感を感じているのです。
試すことができず、少し後悔しています。。。
ですが、油分除去剤やクリーナーワックスの類は、Mighty3 と IMMENSE のふたつだけバッグに入れておくことに決めました!
それ以外でもバッグを重くしていた同一種ケミカル剤の取捨択一化が、今回の洗車を経て可能となりました。
断捨離ですね。
そして、最後に、、、
今回の洗車ですが、全ての汚れを除去することはできませんでした。
まず初めにカウルトップの紫外線劣化による欠損を目にしました。
フロントガラスの下部エッジ部分が露出してしまっていたのです。
ワイパーアームも立ち上げてガラスを拭き上げたのですが、アーム自体脆くなっていたので立ち上げたことを後悔しました。
そーっと下ろして、フロントガラスの清掃も軽く済ませました。
ボンネットとボディの隙間に苔があったのでボンネットを開けようとしましたが、エンジン側の何かしらのパーツが引っ掛かって開けられないのです。
トランクも何故か開きませんでした。
ボンネットを何回か開けようとしてやっと気付きました。
BMW 自身に拒否されている?
拒否というより、これ以上触らない方がいいよ!と警告されていると感じ始めたのです。
これ以上触れば、脆くなったパーツが欠損してしまう可能性があると気付きました。
塗装面もクリーナーワックスでの油分除去後にスケール除去を行おうと思っていましたが、それも中断しました。
P&S BEAD MAKER で全体を拭ってあげてフィニッシュアップとしました。
多分、これで良かったのだと思っています。
汚れを落とし切ることよりも、今ある状態で最良の結果に留めておくことも大切だと気付かされました。
ですが、整備をして乗り出すその時が来たならば、その時は是非とももう一度洗車させて欲しいクルマでした。

再びの「駆けぬける歓び」を願って。。。
see you!!
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